中学三年生になっていた福ちゃんに、転機が訪れました。
あの感動が蘇ったのです。
すっかり忘れていた『歌を作る』チャンスが来たのです。
ある日のホームルーム、担任の井上先生が「提案します。体育祭が近いので、
みんなの結束を図る意味でも、チームの『応援歌』を作ろうと思います。みんなの意見を聞かせてください。」
クラスで討議した結果、チーム(当時は、一年から三年までのクラス対抗)全員から
歌詩を募集し、その中から一番良いものを選ぼうということに。
しかし、蓋を開けてみると、なんと応募された詩はたった一つ。
選考委員だった福ちゃんは、密かにその詩に曲を付け担任へ。
「おっ! いいじゃないか。よし! 決定。」
さっそくクラスで発表され、福ちゃんの処女作『応援歌・青春』が、ここに誕生したのです。
(その後、この応援歌は、中学校の『応援歌』として生徒手帳に記載されているそうです…福ちゃん 鼻高々)
可もなく不可もなく、無事に義務教育を終えた福ちゃんは、ほんのちょっぴり大人びて
高校へと進学していったのです。

花の高校時代。
水を得た魚のように、福ちゃんは歌作りに没頭しました。
高校一年秋の学校祭、一級先輩達が組んだ『ザ・スウィングガイズ』というフォークバンド?に
参加した福ちゃんは、ここで、その力を大いに発揮し、オリジナル曲を発表していきます。

高校三年のある日、それまで歌作りに熱中し、すっかり忘れていた聖子ちゃんから、突然…
「私ってなに? あなたにとって、私ってなに?…」 「‥‥」
素直に「ごめん」と言えば何でもなかったのに、福ちゃんは何故か沈黙してしまったのです。 その日から、後悔と懺悔の日々が続き、若い二人の淡い初恋は終わりをむかえたのです。 「さよなら」も つげずに…