運命の出会いから、半年余りが経ちました。
小鈴ちゃんも、福ちゃんも、相変わらずです。
でも、少しだけ、小鈴ちゃんの態度が変わりました。
いつも酔っ払ってはいるのですが、以前のように悪態を吐く事はだいぶん少なくなりました。
きょうも今日とて…

「ネエ、小鈴ちゃん。飲むなとは言わんけど、お酒 もう少し減らしたら?」
「う〜ん、そんなに飲んでないよ あたい… ヒィック… 」
「そうかい… ならいいんだけど… 」
「ヘェ… 福ちゃん 心配してくれてんの? あたいのこと…」
「うん、心配と言うより 危なっかしくてさ… 小鈴ちゃんを見てると…」
「あんがと。やさしいね、福ちゃんは… 早く行きなよ、配達…」

今日は、久しぶりのお休みです。福ちゃんは、街へ出かけました。
ふと見ると、アマちゃんがいました。時計を気にしながら…
「あっ!」 福ちゃんは、思わず声を上げてしまいました。
な なんと!… アマちゃんは、オババと待ち合わせていたのです。
しかも、二人は腕を組み、ある場所へと消えていったのです…
思わず福ちゃんは、つぶやいてしまいました。
「オババよ、お前も失楽園か…」と。

見てはならないものを見てしまった福ちゃんは、急いでその場所を離れました。
秘密を知ってしまった事を、後悔でもするかのように…
バーコードおやじの顔が、チラツキました。
「忘れよう! 忘れなきゃいけない… あぁ、イヤなもん見てしまったなぁ…」

悪夢を振り払うように、福ちゃんは雑踏の中へ紛れ込んで行きました…