あれから二年の歳月が流れました。 都会と違い、田舎の生活は苦しいものでした。 帰ってきた当初は、近所のオバちゃん達の小鈴ちゃんを見る目が好奇心そのものでした。 「どこの娘だい、真っ赤な髪して…」「まともな生活じゃないよ、ありゃ…」 でも、小鈴ちゃんは耐えました。明るく振る舞いました。好奇心の中へ飛び込みました。 オバちゃん達も、少しずつ心を開いてくれるようになりました。 小鈴ちゃんに、少しずつ笑顔が戻ってきました。 「福ちゃん、隣りの奥さんがさぁ、今夜遊びにおいでって言ってくれたよ」 「へぇー、良かったねぇ 友達出来て… 行っといでよ小鈴ちゃん」 「うん、そうする。何か作ってもって行かなきゃ…」 楽しそうな小鈴ちゃんを、微笑んで見る福ちゃんでした。 さらに、一年が経ちました。 小鈴ちゃんの様子が変です。 「ねぇ小鈴ちゃん、どうかしたの? ここんとこちょっと変だよ…」 「……」 「何か辛いことでもあるの? 一人で悩んでないで、話してごらんよ」 「… できたみたい、赤ちゃん… 」 「えーっ! ほんと!? ほんとに!?」 思いもかけないことでした。歓びが込み上げてきました。 「産んでもいい? … 」 「もちろんだよ。当たり前じゃないか。」 翌年三月、小鈴ちゃんに似た、元気で可愛い男の子が誕生しました。 辛く苦しい生活ながらも、親子三人の新たなる旅路が始まったのです…